睡眠は人体のために欠かせないものです。 筋肉の疲労など身体的なストレスを回復したり、脳や神経など精神的なストレスの回復も睡眠時に行われています。

これらの睡眠による疲労回復は、自律神経の1つである副交感神経が行っており、 自律神経のはたらきを理解し、就寝前に交感神経を刺激しないようにすることで、睡眠の質をあげることが可能です。

この記事では、自律神経と睡眠の関係、睡眠の質をあげるための方法を解説します。

制御できない神経、自律神経のはたらき

まずは自律神経のはたらきについて理解しましょう。

自律神経というのは名前の通り、自律的にはたらく神経です。 人体で自律的に起こる生理現象というのは、発汗や血圧の上昇、低下、瞳孔の収縮などがあげられます。 これ以外にも内臓運動や筋肉の制御など、多くの生理現象が自律神経によって制御されています。

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自律神経は交感神経と副交感神経という神経によって成り立っており、 交感神経は活発な活動、副交感神経は人体の休息を司っています。

例えば、運動時に汗をかいたり、息が浅くなり心拍数が上昇するのは交感神経のはたらきです。 運動によって酸素が必要になったり、体温があがったりすると、交感神経によってこれらの生理現象が起きます。

副交感神経についてはこの記事の主題にもなるため、章を割いてもう少し詳しく解説します。

睡眠時の副交感神経のはたらき

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交感神経が活発な活動をする時にはたらくのに対し、副交感神経は入浴時や睡眠時など、 体がリラックスしている時に、溜まった疲労を回復できる状態になるようはたらきかけます。

具体的にどのようなはたらきをするかというと、内臓運動をするために血液を内臓に集めたり、 呼吸の速さや心拍数、血圧を最低限までさげる といったはたらきをします。

その他にも、涙の分泌や筋肉を弛緩させたりといったさまざまなはたらきを持つのが副交感神経です。 睡眠は副交感神経によって促進され、副交感神経のはたらきによって睡眠の質が決まります。

自律神経のはたらきを理解し、睡眠を改善する方法

自律神経はここまでで解説したとおり、体の状態や外部の刺激に応じてはたらきます。 そして、睡眠は副交感神経によって左右されるため、就寝前に交感神経を刺激してしまうと質の高い睡眠をとることができません。

ここでは睡眠の質をあげるために、交感神経を刺激しないことで質の高い睡眠をとる方法を紹介します。

目に光を入れない

目に眩しい光を入れると、瞳孔の収縮のために交感神経がはたらきます。 睡眠時は本来、副交感神経によって目は瞳孔が開き、涙が多めに分泌される状態になるものです。

これがスマートフォンやテレビなどで光を目にいれてしまうと、交感神経がはたらいてしまい、体が睡眠のための状態になることができません。

カフェインを取り込まない

コーヒーを飲むと眠気が覚める、というのは有名な話です。

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これはコーヒーに含まれるカフェインが交感神経を刺激することで眠気が覚めるという理屈になっています。 実はカフェインというのは、化学的ストレスというものに分類され、人体に取り込むことでストレスを与える物質です。

昼間であれば、カフェインによって眠気を覚ますのは有用かもしれませんが、就寝前にカフェインを取り込んでしまうと 交感神経がはたらいてしまうので、睡眠の質をさげる要因になってしまいます。

また、カフェインの過剰摂取は自律神経失調症を招くことがあります。 最近はエナジードリンクなどでカフェインを摂取する機会が増えているため、適度な量に留めるよう意識しましょう。

首を冷やさない

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首には頸動脈という太い血管が通っているため、首が冷えると冷たい血液が全身に流れてしまいます。 体温の変化は交感神経を刺激する要素の1つ です。 体温が上がれば交感神経は体温を下げるために発汗を促しますし、体温が下がれば筋肉を動かして体温を上げようと試みます。

首を冷やすシチュエーションというのはあまり無いように思われるかもしれませんが、 濡れた髪を乾かさずに居た場合などは首が冷える原因になります。

お風呂をあがったら濡れた髪をあまり放置せず、できるだけ早めに乾かすといいでしょう。

水分を補給する

睡眠時は思っている以上に汗をかきます。 そのため、入眠時には足りていた水分が汗をかくにつれて足りなくなることがあり、 これによって、腸をはじめとする内臓が内臓運動を効率的に行えなくなり、副交感神経が最大限はたらくことができなくなります。

睡眠前に、あまり冷えすぎていない水をコップ半分から1杯程度飲むことで、朝起きるまで副交感神経がはたらける状態を保つことができます。

ベッドや布団など、いつも寝ているところで寝る

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床やソファなど、普段と違う場所で寝るのも、交感神経を刺激していしまい、睡眠の質の低下につながります。

これは普段と違うという認識が自律神経を刺激し、完全に休息の状態にならず、交感神経がはたらきながらの睡眠になってしまうからです。 旅館やホテルなどで寝ると睡眠が浅くなるのもこれが理由 で、すぐに活動できるような状態のまま体が眠ってしまうことになります。

旅行などは仕方ありませんが、家での睡眠はできるだけいつも同じ場所、同じ環境でとることで副交感神経がしっかりはたらき、睡眠の質を良くすることができます。

眠くなった時に寝る

眠気というのは、実は副交感神経によってもたらされています。 人体は交感神経がはたらいている時は眠気がおさえられ、副交感神経がはたらいている時は眠気を誘引するようになっています。

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これによる影響は自律神経失調症でも症状がみられ、交感神経がはたらきすぎていると不眠症になったり、副交感神経がはたらきすぎていると昼間でも眠くなってしまったりします。

つまり夜に自宅でゆっくりしている時、眠気が発生した場合は副交感神経がはたらきはじめている証拠です。 このタイミングで就寝できるのが理想ですが、逆に眠気がないのに無理やり寝るというのもあまりよくありません。

眠気をどれだけ感じているかを、就寝の判断にするといいかもしれません。

暗闇ではなく豆電球を付けたまま寝る

実は、人は本能的に暗闇を恐れる性質を持っています。 睡眠時も同様で、もっとも良いのは豆電球程度の明るさの中で眠ることだと言われています。

これは暗闇を本能的に恐れることで交感神経がはたらいてしまうからで、ある程度の明るさを保ちつつ睡眠をとることで解決することができます。

普段からすべての電気を消して寝る方も居ると思いますが、 可能であれば、豆電球をつけて寝るような習慣に変えると睡眠の質改善が見込めます。

不規則な睡眠は自律神経失調症になることも

自律神経は交感神経と副交感神経が適切なタイミングで切り替わることで成り立っています。 不規則な生活習慣を送っている人はこのタイミングが崩れがちで、その期間が長く続くと慢性的に自律神経が乱れている状態になります。

この状態では自律神経が司る機能に影響が出て、自律神経失調症と呼ばれる状態になります。

自律神経失調症では不眠症や眠りの浅さだけでなく、動悸や寒気、立ちくらみなど様々な症状がでます。 睡眠の質をあげるためだけでなく、健康的な生活のためにも自律神経への理解は必要と言えます。