自律神経の乱れは、ツボや漢方で改善が見込める可能性があります。
漢方は身体的だけでなく精神的に影響するものも多く、神経にはたらきかける効果がある漢方もあります。 ツボは医学的に経穴と言われ、皮膚の刺激を体の内部まではたらきかける効果があり、神経を刺激するツボも少なくありません。
この記事では自律神経の乱れに効果的な漢方やツボについて解説します。
自律神経の乱れを改善するツボ
ツボというのは、医学的に言う経穴というものを指します。 これは経絡医学という1つの学問になるほど大きなもので、体の部位に対応する体表の特定位置を刺激することで、対象部位の症状改善をはかるものです。
労宮

労宮 は身体にたまった疲労を取るツボです。 疲労は筋肉の硬直を発生させ、交感神経を優位にしがちです。 これを取り去ることで、副交感神経が正常にはたらけるよう改善できる可能性があります。
天柱

天柱 は精神的なストレスの解消や、それによる筋肉の硬直、肩こりの改善が期待できるツボです。 精神的なストレスや筋肉の硬直は血流の悪化にもつながるため、これを改善することによる自律神経の正常化が期待できます。
百会

百会 は血流に大きな影響を及ぼすツボです。 多くのツボが合流していることから百会 と呼ばれ、血流の改善によって自律神経だけでなく全身の不調に良い効果が期待できます。
太衝

太衝 も百会 と同様、血流の改善を促進するツボです。 血流だけでなく体温をあげる作用もあり、体全体の活動を活発にする作用があります。
後谿

手を握った時に、小指の下にできるシワの位置にあるのが後谿 です。 ヒステリーや癇癪、精神疾患に効果があるため、精神的な面での調整によって自律神経のバランスを整える効果 が期待できます。
後谿 は風邪や頭痛、目の疲れなどの症状にも効果があります。
自律神経の乱れを改善する漢方
漢方は身体的、精神的に作用するものがあります。 自律神経の乱れは全身に症状がでるため、これを漢方で改善することによって自律神経の乱れ自体も改善できる場合があります。
漢方は生薬の配合によって作られており、生薬ごとにそれぞれ効果は異なります。 また、自律神経の乱れによる症状もさまざまであるため、発生している症状に応じて適したものを医師や薬剤師と相談した上で服用してください。
ここではいくつか、自律神経の乱れに効果が見込める漢方を紹介します。
柴胡桂枝乾姜湯
柴胡桂枝乾姜湯 は身体と精神のどちらにも効果がある漢方で、 熱や炎症の除去、疲労の回復から神経の疲労回復、不眠の解消など、さまざまな効果を持ちます。
食欲不振や吐き気などの消化器系の異常や、発疹やかゆみ、肺機能の異常などの副作用が起こる可能性があります。
加味逍遥散
漢方の世界では血流の異常を血虚 と呼びます。 加味逍遥散 は血虚 を解消する効果を持ち、 血流を整えることによる自律神経の乱れの改善が期待できます。
手足の冷え、のぼせ、生理不順や生理痛、頭痛、肩こり、けん怠感、不眠、神経症などに適応します。また、そのような症状をともなう更年期障害や自律神経失調、月経前緊張症などにも好適です。
発疹やかゆみ、吐き気や嘔吐などの副作用がみられることがあります。
花月
花月 は精神的な症状に作用する漢方です。 慢性的な緊張や興奮、苛立ちなど、またこれらの症状から発生する頭痛や肩こりなどを改善することができます。
これらの症状は血流を悪くする可能性があり、解消することによって自律神経の乱れを整える効果が見込めます。
発疹やかゆみ、吐き気や嘔吐などの副作用がみられることがあります。
補中益気湯
補中益気湯 は胃腸のはたらきを良くする効果と、疲労回復、食欲の改善や免疫力低下の改善などの効果 があります。 成分に含まれる当帰 は血流を改善する効果があり、これによって自律神経の乱れを正常に戻すさようが期待できます。
胃腸のはたらきを良くすることは活力の改善にもつながるため、自律神経だけでなく身体的に良い効果を持つ漢方です。
加味帰脾湯
加味帰脾湯 は本来、胃腸にはたらく漢方です。 ですが緊張やいらだち、不眠などにも効果がある漢方で、体が弱い人でも服用できます。 精神的な興奮を鎮める効果と血流を良くする効果によって、自律神経の乱れを改善する見込みがあります。
むくみや血圧上昇などの副作用がみられる場合があります。
香蘇散
香蘇散 も加味帰脾湯 と同様、体の弱い人でも服用できる漢方です。 体のほてりや冷え、水分循環や抑うつ症状の改善に効果があります。
水分循環はむくみや気だるさを引き起こし自律神経の乱れの原因になる可能性があるため、これを改善することで自律神経を正常な状態に戻す効果が見込めます。
食欲不振、軽い吐き気などの副作用を引き起こすことがあります。
黄連解毒湯
交感神経がはたらきすぎて血圧があがっていたり、動悸、筋肉の緊張などを引き起こしている人に効果がある のが黄連解毒湯 です。
黄連解毒湯 に使われている生薬は黄連 、黄ごん 、黄柏 、山梔子 といった、熱を下げたり緊張を鎮めるものが多く含まれています。
胃の不快感や発疹などの副作用を引き起こすことがあります。
抑肝散
抑肝散 は神経のたかぶりを抑える効果や筋肉の緊張を沈める効果があります。 自律神経が乱れると苛立ちや不眠、筋肉の硬直がみられますが、これらを改善することによって自律神経の乱れ自体も正常に戻る可能性が期待できます。
特徴的なのが服用対象者で、抑肝散 は赤ちゃんや子供向けに作られている漢方です。 大人でも服用でき、精神的な補助薬として処方されることがあります。
肝機能値の異常や吐き気などの副作用を起こすことがあります。
釣藤散
釣藤散 は高血圧やそれに付随する頭痛、めまい、肩こりなどに効果がある漢方です。 不眠症などの改善も期待できます。
脳の血管を広げる釣藤鈎 や、水分循環を改善する茯苓 、半夏 などを含み、自律神経の乱れから来る症状の改善が期待できます。
食欲不振や胃の不快感などの副作用を引き起こすことがあります。
桃核承気湯
漢方では血行障害や鬱血のことを瘀血 と呼びます。 桃核承気湯 は瘀血 に効果のある漢方で、 生理などの血に関する生理現象についても状態を和らげる効果があります。
自律神経の乱れは血行障害を引き起こすことがあるため、これを改善することによる自律神経の乱れの改善が見込めます。
だるさや血圧の上昇、食欲不振などの副作用を起こす場合があります。
柴朴湯
柴朴湯 は免疫力低下に効果のある漢方です。 神経の興奮を鎮めたり、抑うつ状態の改善にも効果を発揮します。
水分循環を改善する茯苓 が含まれているため、前述した神経の鎮静に加えて水分循環の改善による自律神経の乱れの正常化が期待できます。
発疹や食欲不振などの副作用が起きることがあります。
苓桂朮甘湯
苓桂朮甘湯 には柴朴湯 と同様、水分循環を改善する茯苓 が含まれているため、水分循環を改善することによる自律神経の乱れの改善が期待できます。
また、他にもめまいや立ちくらみ、動悸などについても効果があり、体の弱い人でも服用できるという特徴があります。
胃の不快感やむくみ、筋肉の痙攣などの副作用が起きることがあります。
抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏 は筋肉の緊張を解消したり、神経の興奮状態を鎮める効果がある漢方 です。 また、苛立ちや不眠症などについても効果があり、身体的、精神的のどちらにも改善が見込める漢方です。
体が弱い子供などでも服用できます。
胃の不快感や血圧上昇、むくみなどの副作用が起きることがあります。
桂枝茯苓丸
桃核承気湯 と同様で、桂枝茯苓丸 は瘀血 に効果がある漢方です。 血行を改善することによる自律神経の乱れを整える効果が期待できます。
茯苓 が含まれているため、水分循環の改善も期待できます。
胃の不快感や肝機能値の異常などの副作用が見られることがあります。
半夏厚朴湯
半夏厚朴湯 は神経の興奮を鎮め、抑うつや不眠など精神的な症状に効果を持つ漢方です。 この漢方にも茯苓 が含まれているため、水分循環の改善も期待できます。
比較的よく処方される漢方で、喘息などの治療にも使われます。
胃の不快感、食欲不振などの副作用を引き起こすことがあります。