自律神経が乱れている状態だと、高血糖や低血糖を引き起こすことがあります。

これは自律神経によってインスリンの分泌が制御されているからで、 場合によっては、自律神経の乱れによる症状に加えて、低血糖による動悸、手足の震え、発汗や頻脈などを引き起こします。

この記事では、血糖値の基本的な知識から自律神経との関係について解説します。

血糖値のこと、高血糖と低血糖

血糖値という言葉を聞いたことがない人はほとんど居ないと思います。 読んで字のごとく、血液に含まれる糖類の量のことで、簡潔に言うと血液に含まれるブドウ糖の量を指します。

ヒトの血糖値は、血糖値を下げるインスリン、血糖値をあげるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンといったホルモンにより、非常に狭い範囲の正常値に保たれている。

血糖値 - Wikipedia

血糖値は空腹や食事によって変動し、空腹時には80-100mg/dL、食後には140mg/dLほどが平均 とされています。 これは、食事によって体内に取り込んだブドウ糖が、腸から血液を経て、インスリンによって肝臓や筋肉に吸収されるからです。

食後高血糖にご注意を | Diabetes.co.jp

高血糖の原因と症状

一般的には、食後2時間程度で上がった血糖値は140mg/dLほどまで落ち着くと言われていますが、 これが140mg/dLまで下がらず、高い血糖値の状態が続くことを食後高血糖と呼びます。

高血糖の原因

高血糖となる原因はいくつかありますが、もっとも多いのが遺伝によるものです。 両親のどちらか、もしくは両方が高血糖の体質である場合、自分へ遺伝する可能性も高いことがわかっています。

また、純粋に食事による糖分過多も高血糖を招きます。 これは糖分を分解するためにインスリンが大量に分泌され、インスリンを作るための膵臓の機能が低下してしまうことが原因です。

これに加え、ストレスや飲酒、肥満など、日常のあらゆる事象によって高血糖は引き起こされます。

高血糖の症状

高血糖の症状として有名なものが、大食症、煩渇多飲はんかつたいん 、多尿症の3つです。

高血糖症 - Wikipedia

大食症

名前の通り、食欲とは関係なしに大量に食事を摂ってしまうことです。 高血糖によって引き起こされるというより、高血糖の人によく見られる症状です。

煩渇多飲はんかつたいん 、多尿症

高血糖によって血中グルコース濃度が上昇すると、腎臓からさらにグルコースが分泌されます。 これによって利尿が促され、多飲症や多尿症を引き起こすことがあります。

低血糖の原因と症状

高血糖とは逆に、血糖値が著しく下がってしまうのが低血糖です。 低血糖の原因としては、長い間の空腹や、糖尿病治療のための投薬によるインスリンの大量分泌 があげられます。

また、低血糖の状態で激しい運動をするとさらに悪化するといった特徴もあります。

低血糖の症状

血糖値の低下がもっとも影響をあたえるのは、脳の活動です。 脳は糖分をエネルギーとしてはたらいているため、低血糖の状態では脳が活動できず、精神症状や意識を失うといった症状を引き起こします。

しかし、人体には低血糖にならないような仕組みがあり、血糖値が下がると様々なホルモンを分泌して血糖値をあげようとします。

これによって脳への影響を与えるほどの低血糖は起こりにくくなりますが、この時に分泌されるアドレナリンの影響で交感神経が優位の状態になることがあります。

交感神経は人体の活発な活動を司る神経で、血圧の上昇や発汗、筋肉の硬直を支配しています。 アドレナリンが交感神経を刺激することで、多汗症や動悸、震えといった症状が見られることがあります。

糖分の摂取とインスリンのはたらき

ここまでで何度か登場していますが、人体が食事をするとインスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンは膵臓で作られ、血糖値が上がると分泌されます。 インスリンのはたらきは血糖を臓器にとり込んだりするといったもので、 このはたらきによって、食事によって上がった血糖値が正常な値に戻る仕組み になっています。

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インスリンの分泌は自律神経によるもの

では、血糖値の上昇を検知してインスリンの分泌を促しているのは人体のどの部位なのでしょうか。 これは脳にある視床下部ししょうかぶ による もので、自律神経を介して行われています。

視床下部ししょうかぶ はホルモンの分泌全般を司っている部位で、自律神経と密接な関係にあります。

自律神経の乱れは糖分の処理に関わる

視床下部ししょうかぶ から自律神経を介して制御されているインスリンの分泌、血糖値の調整ですが、 自律神経はストレスや生活習慣の乱れによって適切にはたらかなくなることがあります。

こういった状態では、血圧の調整や瞳孔の収縮、発汗や動悸などさまざまな事象に影響があらわれます。

もちろんインスリンの分泌もその1つで、自律神経の乱れによってインスリンの分泌が正常に行われず、 高血糖、低血糖の症状を引き起こすことがあります。

自律神経の乱れを整えて低血糖、高血糖を回避する

ですが、糖尿病などではなく自律神経の乱れによって引き起こされる高血糖、低血糖の場合、 自律神経の乱れを整えることで症状の改善が見込めます。

運動による改善

自律神経失調症のせいで高血糖、低血糖に?インスリンと自律神経の関係 /images/ins-sports.jpg

自律神経の乱れは、自律神経をはたらかせることによって改善する可能性があります。

運動は自律神経をはたらかせるいい例で、体温の上昇による心拍数の上昇、発汗、呼吸など、交感神経のはたらきによって影響する要素がいくつもあります。 これらを意図的にはたらかせることで、自律神経本来のバランスをすこしずつ取り戻すことができます。

しかし、対人のスポーツなどストレスになり得るものは避けましょう。 おすすめなのは水泳やウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動です。

無理しすぎない程度に、自分のペースでやれる運動を選びましょう。

生活リズムの見直しによる改善

自律神経失調症のせいで高血糖、低血糖に?インスリンと自律神経の関係 /images/ins-time.jpg

人間の体は体内時計(概日リズム)に沿ってコントロールされています。

例えば朝起きて太陽を浴びるとセロトニンというホルモンが分泌され、胃や腸をはたらかせたり排便を促したり、一日の始まりの合図としてはたらきます。

これに対して、睡眠時にはメラトニンというホルモンが分泌されます。 メラトニンは睡眠に深く関係したホルモンで、こちらも体内時計を調整する役割を持っています。

体内時計を基準としたこれらの生理的現象は、ほとんどが自律神経を介して行われます。 これらが適切にはたらかないことは、自律神経の乱れと呼べるわけです。

適切な体内時計を維持するのに大切なのは、起床と睡眠です。 できる限り同じ時間に寝て、同じ時間に起きる、これだけでも十分効果があり、体内時計が適切な状態に戻ることで自律神経の乱れの改善が見込めます。

一般的に、睡眠時間は6時間から8時間が適切と言われています。自分の生活に応じて何時に寝ればいいかを考えましょう。

食生活の見直しによる改善

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自律神経が乱れる原因でもっとも多いのはストレスですが、実は栄養不足で自律神経の乱れにつながることがあります。 これはストレスの一種である化学的ストレスの影響で、 カフェインや糖質など、過剰摂取によって体に負担がかかる種類のストレスを指します。

化学的ストレスになり得る食事を避けるというのも大切ですが、 実は神経のはたらきを支える栄養素もあるため、こういった食材を積極的に摂ることも効果的かもしれません。

名称 多く含む食材
ビタミンA レバー、うなぎ、卵黄、うに
ビタミンB群 胚芽米、卵、納豆、マグロ、牛乳
ビタミンC 赤ピーマン、ブロッコリー、レモン、菜の花
カルシウム 大豆、桜えび、プロセスチーズ
鉄分 イワシ、煮干し、豆乳、ほうれん草、ひじき
マグネシウム ごま、アーモンド、焼き海苔、干しエビ
亜鉛 牡蠣、レバー、うなぎ、カシューナッツ

呼吸法による改善

自律神経失調症のせいで高血糖、低血糖に?インスリンと自律神経の関係 /images/ins-palm.jpg

実は呼吸は人体の活動と密接に関係しています。 さらに言えば自律神経とも深く関係しており、交感神経は息を吸い込む動作を、副交感神経は息を吐く動作を司っています。

ゆっくり呼吸をしてみるとわかりますが、吸気時(息を吸い込んだ時)は脈拍が速く、呼気時(息を吐いた時)は脈拍が遅くなります。 これは交感神経、副交感神経と心臓の制御の関係と対応した反応です。

呼吸について - 越田治良院

つまり、正常な呼吸を意識することで自律神経の乱れの改善が期待できるということです。

わざわざ呼吸のために時間を取るのは意外と億劫になってしまうため、簡単にできる方法として、寝る前の呼吸を意識してみることをおすすめします。

ゆっくり吸って倍の時間かけて吐く、これを寝る前に意識しておこなうことで、自律神経の乱れの改善と、眠気の誘引、睡眠の質向上につながります。 余裕があれば、腹式呼吸などを取り込んでみるとさらなる効果が期待できます。