様々な不調を引き起こす自律神経の乱れ、ですが、自律神経の乱れがどのような症状を引き起こし、 なぜそのような症状を引き起こすのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、自律神経の基本的な知識から、自律神経が乱れる原因、自律神経の乱れによる症状について解説します。

まずは自律神経のはたらきを理解する

自律神経は全身に張り巡らされた神経で、内臓運動や発汗、血圧の増減など、自分の意志で制御できない生理現象 を管理しています。

人間は1日の生活のなかで、仕事や運動をしている時などの活発な活動をしているタイミングと、 入浴や睡眠などの休息をしているタイミングがあります。

自律神経には交感神経と副交感神経という神経があり、それぞれ活発な活動と休息を支えるはたらきを持っています。

交感神経のはたらき

交感神経がはたらくのは、活発な活動をしているタイミングです。

例えば、運動をしている時を考えてみます。 運動中は筋肉を使うため、交感神経は人体が運動に適した状態になるよう、筋肉に血液を集めます。

自律神経が乱れるとどうなるの?自律神経失調症の症状について /images/ins-sports.jpg

また、運動によって消費された酸素を補給するため、呼吸を速くし、心拍数を上げることで酸素を取り入れようとします。

運動によって上がった体温にも、交感神経は反応します。 体温が上昇しすぎると脳に障害を与えてしまうため、交感神経はそれを回避するために発汗を促します。

副交感神経のはたらき

副交感神経は、リラックスしている時や睡眠時にはたらきます。

とくに睡眠は副交感神経がもっともはたらくタイミングで、 血液を内臓に集めて内臓運動を促したり、筋肉を弛緩させて疲労回復ができる状態に変えたりします。

自律神経の乱れは2パターンある

自律神経の乱れというのは、交感神経と副交感神経がはたらくべきタイミングではたらけなくなること です。

つまり、交感神経ばかりはたらいてしまっている場合と、副交感神経ばかりはたらいてしまっている場合に分類することができます。

交感神経優位

交感神経ばかりはたらいてしまっている状態を、交感神経優位の状態と呼び、 疲労が回復しなかったり、動悸や息切れを引き起こすようになります。

副交感神経優位

副交感神経優位の場合は、抑うつや気だるさ、無気力、昼間の眠気といった、どちらかというと精神的な症状がおおく見られます。

自律神経の乱れによって肉体的にあらわれる症状

自律神経の乱れが引き起こす症状について、まず肉体的におこるものからみていきましょう。 肉体的におこる症状は、ほとんどが交感神経優位によるものです。

頭痛

自律神経は血圧や心拍数を制御しており、交感神経優位の状態が血行不良を引き起こす ことがあります。 血行不良は脳の酸素不足を引き起こし、頭痛や偏頭痛の原因になることがあります。

ストレスで頭痛が起こるのは【自律神経】の乱れを疑おう | 頭痛外来の福岡自律神経カイロプラクティック

眩しさ

瞳孔の収縮は自律神経によって自律的に制御されているため、自律神経の乱れによって明るさや暗さに反応できず、 異常な眩しさを感じるようになることがあります。

眼精疲労、ドライアイ

交感神経優位による血行不良や疲労回復の阻害によって、目に疲れが溜まったりドライアイになることがあります。

耳鳴り

自律神経は筋肉の緊張や弛緩も制御しています。 交感神経優位になると筋肉が緊張しがちになり、神経を圧迫してしまうことがあります。

これによって耳鳴りに発展することがあります。

喉の渇き

自律神経は唾液の分泌も制御しています。 交感神経優位になると、唾液が分泌されるべき時にされず 、喉や舌の調子がおかしくなることがあります。

また、味がわからなくなったりといった症状もあるようです。

抜け毛、肩こり、冷え、むくみ

自律神経の乱れが引き起こす血行不良は、あらゆる症状を引き起こします。 その代表的なものが、肩こり、抜け毛、冷え、むくみです。

抜け毛は血行不良によって毛根が栄養不足になるためで、 肩こりや冷え、むくみは、血行不良が筋肉疲労になったり、熱をはこべなかったりするせいでおこる症状です。

息苦しさ

自律神経は体内の酸素量に応じて、呼吸のテンポを決めています。 自律神経が乱れるとこの機能が低下し、酸素が足りているのに足りていないと判断され 、息苦しさを感じるようになることがあります。

頻尿、残尿感

排泄も自律神経によって促されるものです。 自律神経が乱れると、トイレが近くなったり、排泄をしても残尿感が残ったりといった症状がでます。

多汗症

自律神経は発汗の制御もしています。 これは体温の上昇による脳へのダメージを軽減するためのものですが、自律神経が乱れると必要のない発汗が見られることがあります。

多汗症の原因でもあり、近年で増えてきている症状です。

自律神経の乱れによって精神的にあらわれる症状

次に、自律神経の乱れが引き起こす精神的な症状について解説します。 ここにあげられるのはほとんどが、副交感神経優位によって引き起こされる症状です。

気だるさ、無気力感

自律神経の乱れがまず引き起こす精神的症状が、気だるさや無気力感です。 これは活動を支える交感神経がはたらかず、副交感神経ばかりはたらいてしまうことで、体が休息の状態から抜け出せないために引き起こされます。

交感神経はホルモンの分泌にも作用しており、これが大きな原因となっています。

抑うつ

自律神経の乱れが引き起こす代表的な精神的症状が抑うつです。 抑うつという言葉ではどのような症状かわかりづらいですが、気だるさや無気力感などを含む大きな定義と考えればわかりやすいです。

抑うつ(よくうつ、Depression)とは、気分が落ち込んで活動を嫌っている状況であり、そのため思考、行動、感情、幸福感に影響が出ている状況のこと[1]。抑うつというだけでは原因不明の症状である[2]。うつ状態とは、状態像であり、抑うつの症状が精神状態の中心となっていることを意味する。

抑うつ - Wikipedia

不安感

副交感神経優位によるホルモンの乱れや、体の不調によって不安感を引き起こすことがあります。 これは精神的な原因だけでなく、筋肉の弛緩や血行不良、神経の不調など、多角的な原因によって引き起こされます。

注意力、集中力の低下

副交感神経優位による筋肉の弛緩、精神状態の変化によって、注意力や集中力の低下を引き起こすことがあります。

そもそも注意力や集中力を要する場面というのは、交感神経がはたらいているべき場面です。 副交感神経が優位になると、交感神経が支えているシチュエーションに影響がでます。

自律神経は生活習慣の見直しでも十分改善できる

そもそも自律神経の乱れは、不規則な生活習慣や、過度なストレスによって引き起こされます。 生まれつき乱れやすい体質というものもありますが、まずは生活習慣を見直すことで改善を試みるのがおすすめです。

運動による改善

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自律神経の乱れは、自律神経をはたらかせることによって改善する可能性があります。

運動は自律神経をはたらかせるいい例で、体温の上昇による心拍数の上昇、発汗、呼吸など、交感神経のはたらきによって影響する要素がいくつもあります。 これらを意図的にはたらかせることで、自律神経本来のバランスをすこしずつ取り戻すことができます。

しかし、対人のスポーツなどストレスになり得るものは避けましょう。 おすすめなのは水泳やウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動です。

無理しすぎない程度に、自分のペースでやれる運動を選びましょう。

生活リズムの見直しによる改善

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人間の体は体内時計(概日リズム)に沿ってコントロールされています。

例えば朝起きて太陽を浴びるとセロトニンというホルモンが分泌され、胃や腸をはたらかせたり排便を促したり、一日の始まりの合図としてはたらきます。

これに対して、睡眠時にはメラトニンというホルモンが分泌されます。 メラトニンは睡眠に深く関係したホルモンで、こちらも体内時計を調整する役割を持っています。

体内時計を基準としたこれらの生理的現象は、ほとんどが自律神経を介して行われます。 これらが適切にはたらかないことは、自律神経の乱れと呼べるわけです。

適切な体内時計を維持するのに大切なのは、起床と睡眠です。 できる限り同じ時間に寝て、同じ時間に起きる、これだけでも十分効果があり、体内時計が適切な状態に戻ることで自律神経の乱れの改善が見込めます。

一般的に、睡眠時間は6時間から8時間が適切と言われています。自分の生活に応じて何時に寝ればいいかを考えましょう。

呼吸法による改善

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実は呼吸は人体の活動と密接に関係しています。 さらに言えば自律神経とも深く関係しており、交感神経は息を吸い込む動作を、副交感神経は息を吐く動作を司っています。

ゆっくり呼吸をしてみるとわかりますが、吸気時(息を吸い込んだ時)は脈拍が速く、呼気時(息を吐いた時)は脈拍が遅くなります。 これは交感神経、副交感神経と心臓の制御の関係と対応した反応です。

呼吸について - 越田治良院

つまり、正常な呼吸を意識することで自律神経の乱れの改善が期待できるということです。

わざわざ呼吸のために時間を取るのは意外と億劫になってしまうため、簡単にできる方法として、寝る前の呼吸を意識してみることをおすすめします。

ゆっくり吸って倍の時間かけて吐く、これを寝る前に意識しておこなうことで、自律神経の乱れの改善と、眠気の誘引、睡眠の質向上につながります。 余裕があれば、腹式呼吸などを取り込んでみるとさらなる効果が期待できます。