体温は筋肉によって作られ、血流によって全身に運ばれます。 しかし筋肉量が少なかったり、自律神経の乱れなどで血行が悪くなっている人 は熱が生み出せず、 生み出せても全身に運ぶことができないため、冷え性になりがちです。

この記事では冷え性の種類と、主な原因、冷え性の引き金となる生活習慣について解説します。

冷え性の症状と種類

冷え性は症状ごとに3つに分類できます。 もっとも多いのは四肢末端型冷え性ですが、最近は男性や老人に下半身型冷え性の症状が見られることが多くなってきています。

下半身型冷え性(高齢者に多い)

女性、男性ともになりやすいのが下半身型冷え性です。 とくに年齢が高めの人がなりやすい傾向にあり、血流の弱さなどが原因となっています。

人は高齢になると梨状筋りじょうきん という臀部でんぶ にある筋肉が硬直しがちです。 これによって足の血管を支配する神経が刺激され 、血流が悪化することから冷え性になる場合が多いようです。

四肢末端型冷え性(女性に多い)

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指先や足先が冷えるタイプの冷え性です。 筋肉不足によって熱を生み出せないことが原因となっており、女性に多く見られます。

筋肉量の不足は、ダイエットや食生活が影響している場合がほとんどです。

内臓型冷え性(老若男女問わずなりうる)

汗や排泄によって熱を排出しすぎてしまうことによって冷えるタイプの冷え性です。 老若男女問わず見られます。

冷たい飲み物を飲み過ぎたり、運動不足によって代謝が悪くなっていることで体に水分が溜まりすぎているなどの原因が多いようです。

血行と体温の関係

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人の体温は筋肉によって作られ、血管を流れる血流によって全身に運ばれます。 体温は自律神経によって管理されており、体温が上がりすぎると自律神経のはたらきによって発汗が促され、適切な体温まで下がるようになっています。 これは体温が上がり過ぎると脳に障害を与えてしまうためです。

つまり、人が適切な体温を維持するには、適切な筋肉量と適切な血流が必要になるというわけです。 冷え性のほとんどは、このどちらかが正常でないことが原因です。

冷え性の主な原因、生活習慣

前述したとおり、冷え性の原因は筋肉量の不足、または血流の異常です。 ここではそれらの症状を引き起こす原因について解説します。

脂肪の付きすぎ

おそらくいちばん多い冷え性の原因はこれでしょう。

脂肪は熱を保持しづらく、冷えやすい特徴を持っています。 そのため、脂肪が多い人は冷え性になりやすいと言えます。

後述する食生活の偏りも、脂肪の付きすぎを助長するという意味で冷え性の原因となります。

自律神経の乱れ

自律神経は血圧や心拍数を制御しています。 自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ち、これらが相互にはたらくことで人間は生理的な活動をすることができています。

しかし、ストレスや生活リズムの崩れによって、自律神経が正常にはたらかなくなることがあります。 これによって血行が悪くなり、熱を全身に運べず冷え性になることがあります。

筋肉不足、運動不足

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体温は筋肉によって作られ、血流とともに全身に運ばれます。

運動が生活習慣に組み込まれていない人は運動不足になりがちで、 必要な筋肉量に達せず、熱を全身に運べなくなることで冷え性になることがあります。

とくに女性は筋肉量がもともと少ないため、これが理由で冷え性になる方が多いようです。

ダイエット、食生活の偏り

ダイエットや食生活の偏りは、筋肉を動かすエネルギーを生み出すことができなくなるだけではなく、 筋肉自体を減らしてしまうことがあります。

とくに筋肉は重さがあるため、女性はダイエットによって筋肉を減らしてしまう方が少なくありません。 また、筋肉の運動は血流やリンパ管の循環などにも影響するため、筋肉が減るだけでいくつもの悪影響があります。

水分の過剰摂取

冷え性は水分の過剰摂取によってなることもあります。

水分を摂り過ぎると排尿が促されます。 排尿は体温とともに体外に排出されるため、体温を下げる効果があります。 これによって体温が下がりすぎ、冷え性の症状が出ることがあります。

喫煙

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喫煙はタバコに含まれるニコチンにより、血管を収縮させる作用があります。 血管が収縮すると血行が悪くなり、体温が運べず、冷え性となることがあります。

また、タバコはホルモンバランスの乱れを起こすことがあり、ホルモンバランスの乱れが自律神経の乱れへつながり、冷え性を悪化させることもあります。

冷え性の改善方法

冷え性の改善方法はいくつかありますが、自分がどのタイプの冷え性なのか、 何が理由でそのタイプの冷え性になったかを理解しなければ、どの改善方法を実践すればいいかを判断できません。

また、改善方法の中には「温める」といった方法もありますが、これは根本的な解決ではなく一時的なものです。 冷え性の改善には原因を解決することが大切です。

まずは原因を理解してから、以下に紹介する方法で改善を試みてください。

食事による冷え性の改善

こんな人におすすめ : ダイエットなどで食生活に偏りがある人、筋肉量が少なく血行が悪い人

食事はエネルギーを作るため、筋肉を作るために不可欠です。 また、食材によっては体を冷やす効果があるものもある ため、冷え性の場合はそういった食材を避ける必要もあります。

体を温める食材、エネルギーになる食材

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食べるもので体を温めるのは、一時的な改善しかできず根治療法とはいえません。 応急処置として考えて実践しましょう。

代表的なものが生姜です。 生姜は血行を促進する効果があり、他にもごぼうや玉ねぎ、とうがらし、人参などが同様の効果を持ちます。

また、血液の問題で血流が悪くなっている場合は、血液を正常にする効果のある食材が効果的です。 例えば、かぼちゃ、ほうれん草、玉ねぎなどがあります。

体を冷やしてしまう食材

体を冷やしてしまう食材の代表的なものに茄子があげられます。 これはカリウムが豊富に含まれ、水分も多い野菜だからです。

他にもきゅうりやトマト、冬瓜などが体を冷やしてしまう食材にあげられます。 また、生野菜は種類に限らず体を冷やす作用があるそうです。 野菜を摂る際は温野菜にして摂りましょう。

体を温める野菜・体を温める食事 | 瑞穂青果

運動による冷え性の改善

こんな人におすすめ : 筋肉量が少なく血行が悪い人

日常的に運動を習慣づけると、筋肉量の増加や自律神経の正常化など、冷えの原因になる事象の改善効果が見込めます。

とくに筋肉量は冷えに大きく関わっているため、これによって改善が見込める人は多いと思われます。

入浴による冷え性の改善

こんな人におすすめ : 血圧が低く血行が悪い人、日々シャワーで入浴を済ませている人

入浴によって体が温まると、血管が広がって血行が良くなります。 この効果は一時的なものですが、寝る少し前に入浴することで夜の冷えは回避することができます。

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入浴で気をつけたほうがいいのが、お風呂の温度です。 あまり熱すぎるお湯のお風呂だと、体の内部が温まる前に熱くて出たくなってしまうことがあります。

また、体温が上がり過ぎると自律神経がはたらき、発汗などの体温を下げる活動 をはじめてしまい、結果的に体温が下がってしまいます。 冷え性を改善するためには、38度から40度程度のお風呂にゆっくり入るのが効果的です。

しかし、この方法は血行不順や筋肉不足など、原因を解決するためのものではありません。 あくまで一時的な改善方法です。

漢方による冷え性の改善

漢方には体内の水分や血液を循環させるものや、内臓のはたらきを助けるものなどがあります。

冷え性は血行の悪さや、筋肉量の不足によって熱がつくれないといった原因が多いため、 漢方との相性は良いと言われています。

しかし、漢方も、筋肉不足などの原因を直接解決できるわけではありません。 漢方で一時的な改善をしながらも、根本の原因を解決して恒久的な改善をしていきましょう。

漢方は生薬の配合によって作られており、生薬ごとにそれぞれ効果は異なります。 発生している症状に応じて適したものを医師や薬剤師と相談した上で服用してください。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう

当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう は血行を良くすることで体を温める漢方です。 冷え性の改善を目的に作られているため、比較的高い効果が見込めます。 血行を良くする当帰とうき や水分循環を良くする木通もくつう などが使われています。

胃の不快感や食欲不振、肝機能値の異常などの副作用を引き起こすことがあります。

当帰芍薬散とうきしゃくやくさん

当帰芍薬散とうきしゃくやくさん当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう と同様、血行を良くすることで体を温める漢方です。 冷え性だけでなく貧血などにも効果があり、体力のない女性でも服用できるのが特徴です。

水分循環を良くする茯苓ぶくりょう や、川芎せんきゅう当帰とうき などの血行を良くする生薬が含まれています。

胃の不快感や食欲不振、肝機能値の異常などの副作用を引き起こすことがあります。

温経湯うんけいとう

漢方では血の異常や血行不順を瘀血おけつ と呼びます。 温経湯うんけいとう もこれまで紹介した漢方同様、血行を良くする漢方 で、瘀血おけつ が原因の冷え性に対して効果があります。

胃の不快感、食欲不振などの副作用を引き起こすことがあります。

安中散あんちゅうさん

安中散あんちゅうさん は胃の不調を改善する漢方です。 胃もたれや食欲不振などに効果があります。

体温のほとんどは筋肉によってつくられますが、実は胃や腸からも体温は作られています。 内臓から冷えるタイプの冷え性の場合は安中散あんちゅうさん による効果が見込めます。

大建中湯だいけんちゅうとう

大建中湯だいけんちゅうとう胃腸の張りをおさえ、内臓を温める効果があります。 体力のない人でも服用することができ、安中散あんちゅうさん と同様、胃腸のはたらきをよくすることで冷え性の改善が見込めます。

真武湯しんぶとう

真武湯しんぶとう は体の水分循環を改善する漢方です。 茯苓ぶくりょう蒼朮そうじゅつ などといった水分循環を良くする生薬が含まれているため、 体内の水分過多による冷え性の改善が期待できます。

体力のない人も服用できますが、動悸、のぼせ、舌のしびれなどといった副作用が起こることがあります。

十全大補湯じゅうぜんたいほとう

漢方では気力や元気のことを気と呼び、気の異常を気虚ききょ と呼びます。 十全大補湯じゅうぜんたいほとう気虚ききょ を取り除き、体温の低下や免疫力の低下などを改善する効果があります。

また、茯苓ぶくりょう蒼朮そうじゅつ が含まれているため、水分循環の改善も期待できます。

発疹、発赤、かゆみなどの副作用がでる場合があります。